アフリカとFAO

アフリカの経済事情

アフリカの経済は、依然として農業等第一次産業に依存しています。 農業が国のGDPシェアの20%以上占めている国が 30カ国にも上り、また、人口の約6~7割が農村に住んでいます。 悪化している経済環境の中、飢餓人口も過去30年間増加傾向にあります。 1990年始めには169百万人であったものが、2001~2003年平均では、206百万人にも上ります。 飢餓人口の数そのものは、人口を多くかかえるアジア地域には及ばないものの、人口比での栄養不良人口割合が高く、15カ国で割合が35%以上にも上ります。 FAOハンガーマップでもアフリカ大陸に多く「赤」くなっている国が見てとれます。

 

アフリカ農業はふたつの側面を抱えていますが、どちらも難しい状況です。 ひとつは主要作物(とうもろこし、ミレット、キャッサバ、米、ソルガム等)の生産です。 これらは生産の伸びが一部の例外を除いて停滞傾向です。 もうひとつは換金作物(コーヒー、紅茶、ココア、綿花等)の生産・輸出です。 これらも、1970年代までは堅調であったものの、その後価格の下落傾向もあり不調です。農産物の輸出価格の下落等外的な要因への脆弱性以外にも、アフリカにおいて、以下のような内的要因で農業発展は阻害されています。

 

・政治不安・内戦等による農地破壊、農民の難民化、労働力不足

・ガバナンスの悪さと農業軽視の政策

・集団土地所有制度に見られがちな生産意欲減退

・基本的農業インフラストラクチャーの未整備で、ポストハーベストのロスが高く、コストも高く、肥料利用率も低い。

・市場整備・アクセス・情報が未発達

 

このようなアフリカの現状を踏まえると、食料・農業を中心に援助支援するFAOの役割は大変重要です。 また、2015年を達成期限とした国連ミレニアム開発目標*注)の第一に掲げられている2015年までの飢餓人口半減にも、アフリカでの農業生産回復による飢餓人口減少化が重要な課題でもあるのです。アフリカ農業発展には、次のような農業振興策が必要です。

 

・避難していた農民の農地帰還の支援、地雷除去による農地整備

・農業インフラ・関連する社会インフラへの投資・整備

・人材育成

・農業生産技術向上(肥料利用含む)支援

・灌漑整備・利用推進

・市場整備・アクセス・情報を発達させ、域内貿易の活性化

 


*注) ミレニアム開発目標 Millennium Development Goals, MDGs

 

2000年に189の国連加盟国代表により採択された「国連ミレニアム宣言」を契機に作成された、途上国の開発課題解決に向けた国際社会共通の開発目標であり、2015年を達成期限とした8つの目標、18のターゲット、48の指標が定められている。8つの目標は以下の通りである。

 

1. 極端な貧困を解消
2. 初等教育の普及
3.  男女平等と女性のエンパワーメントを図る
4.  幼児死亡率の低下
5.  妊産婦の健康状態の回復
6.  HIV/AIDS、マラリア等の病気と闘う
7.  環境の持続可能性を確保
8.  開発のためのグローバルパートナーシップの構築

  


 

FAOによる支援

FAOはこれまで、アフリカ農業に対し上記のような分野を中心に援助を続けてきました。技術協力では、アフリカ向けが約4割、テレフード事業については、45%近くがアフリカ諸国向けです。また、1994年から開始した途上国の貧困・飢餓撲滅の食料安全保障特別事業は、特にプログラムが執行される国のオーナーシップ・地元のエンパワーメントを中心としていますが、その事業の中で、南南協力が進められてきています。これは、所謂先進国よりも、発展途上国の社会・文化・経済的・問題をより理解しやすい最近経済発展に成功してきたばかりの途上国が、自分達の経験を活かして他の途上国を支援するというものです。これにより、途上国間の連携・協調が高まるとともに、途上国の実情に即したより現実的な支援が効率的に行われることを進めるものです。これにより、例えば中国やベトナムの農業専門家がアフリカ諸国に派遣される等農業開発・貧困削減に協力しています。

 

2001年にアフリカ元首による実行委員会発足会合で、NEPAD New Partnership for Africa’s Development(アフリカ開発のための新パートナーシップ)が策定され、その中で、農業を重要な開発部門の1つとして位置づけました。その後、2003年アフリカ首脳が集まったマプト宣言では、FAOの主導のもとに、CAADP Comprehensive Africa Agriculture Development Programme(アフリカ農業総合開発戦略)が策定されました。これは以下の4つの施策の実施を目標にしています。

 

・食糧増産による貧困削減

・農地及び水資源管理

・研究成果の技術移転

・インフラ整備と市場アクセス拡大

 

同じくこのマプト宣言では、アフリカ各国での2008年までに予算の10%を農業に振り向けることを目標として、アフリカ諸国のオーナーシップも明確化しています。このCAADP採択後、FAOの支援の下、48のアフリカ各国において、国別中期投資計画NMTIPs National Medium-Term Investment Programmes とそれに基づく192の投融資可能計画 BIPPs Bankable Investment Project Profiles が策定されました。これらの計画は、どのような援助・投資をその国が求めているか、というアフリカ諸国の援助についてのオーナーシップの現われでもあり、援助国もこのような計画を十分参考にして援助を組み立てることとなります。今後もFAOはアフリカ諸国の発展についてのこのようなオーナーシップをベースに、アフリカ農業の開発発展を支援し、貧困・飢餓撲滅に努めていきます。