私たちは皆、空腹とは何かを知っています。自分のお腹の感覚で分かっています。そして、私たちが空腹を感じたとき、それを解消するのにそれほど苦労することはありません。
けれども、8億5,000万人以上の人たちにとっては、空腹はずっと続くものなのです。
あなたが空腹で食べるものが何もなかったらどんな感じか想像してみてください。あなたの体は自分の脂肪や体の組織から栄養を摂りはじめます。もし長い時間食べずにいれば、体重が50%も減ってしまうかもしれません。肌は薄く、硬く、青白く、そして冷たくなります。髪の毛はパサパサに乾いて薄くなり、簡単に抜け落ちるようになります。食べなくなってから約8~12週間後には、餓死してしまいます。
飢きんが原因の飢餓は、空腹の最も深刻な形です。
FAOの仕事は、飢きんが起こらないようにすることです。FAOは世界中の国々の食料事情を常に見守っています。危機が差し迫ると、FAOが警報を発します。もっと知りたいですか? アジズ・アーリャに会ってみませんか?
お腹が膨れて、手足がやせた子どもたち。そういう飢きんの画像を見たことがある人は多いでしょう。こうした恐ろしい写真やニュースは、しばしばマスコミに大きく取り上げられますが、それらは飢餓のほんの一部分しか伝えていません。
世界の飢えている人々の大部分は、いわゆる飢餓の状態までには至っていません。こうした人々の苦しみはニュースになりません。
慢性的に飢えている人々は、栄養不足に陥っているのです。彼らは、活発に活動をするために必要なエネルギーが得られるだけの十分な量を食べていません。栄養不足によって勉強や仕事、そして遊ぶことまでが難しくなります。栄養不足の子どもは、健康な子どもよりも成長が遅れます。精神面の発達が遅れることもあります。日常的な飢えは免疫力を下げ、病気や感染症にかかりやすくなります。
日常的に飢えている母親は、体重が標準に満たない弱い赤ちゃんを産むことが多く、このことが致命的な結果を招きます。世界保健機構(WHO)は、毎年300万人をはるかに超える子どもたちが、体重不足で生まれたせいで死亡すると計算しています。
毎日、世界の何百万、何千万という人々が、生き延びるのにぎりぎり最小限の食料しか食べていないのです。彼らは毎晩、明日食べる十分な食料があるか分からないまま、床につくのです。この次の食事にどうやってありつけるか分からない状態を「食料不安」と呼びます。FAOでは、「食料不安」を以下のように定義しています。
「人々が、正常な成長・発達および活動的で健康的な生活のために十分な量の安全で栄養のある食料を得る確実な方法を持たない時に存在する状況」FAOの使命は、誰も食料不安の状態にならないように加盟国を助けることなのです。
別の種類の飢餓があることも知っておかなければなりません。何百万、何千万という人々が、非常に限られた食事で生き延びています。彼らは毎日ほとんど同じものを食べています。このために、健康でいるために必要なビタミン類やミネラルを摂取していません。
この微量栄養素が足りない状態は、しばしば「隠れた飢餓」と呼ばれます。20億人を超える人々が微量栄養素欠乏症に冒されており、それが深刻な結果を招きます。
例えば、1億から1億4000万人の子どもたちがビタミンA欠乏症にかかっており、その結果、毎年200万人以上の子どもたちが深刻な視力障害になります。推定で25万人から50万人は、永久に目が見えなくなってしまいます。
ヨウ素欠乏症もまた、恐ろしい問題です。毎年10万人の赤ちゃんが、母親の妊娠前や妊娠中の食事にヨウ素が不足していたために、回復不能な脳障害を持って生まれてきます。
全体的に見れば、慢性的な栄養不足やビタミンやミネラルの不足した食事が原因で、毎年500万人以上の子どもたちが亡くなっています。
これらの子どもたちは、別の星に住んでいるわけではありません。あなたの隣人なのです。私たちは、お互いに面倒をみる必要があるのです。
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